研究概要 |
計画していた予備実験と最適化条件設定は順調に進めることができ、約数百個の細胞を用いたテストは成功した。技術開発を進めていった過程で、とくに時間がかかったのはT7RNAポリメーラーゼを使った増幅の最適化条件を決める実験と、この条件下で増幅したmRNAの最適なビオチン化の条件設定であった。すでに段階的サブトラクション法によって包括的に単離してきた遺伝子群のうち、分裂酵母減数分裂特異的な32種類のmeu^+遺伝子群とともに、ゲノム塩基配列より得たコイルドコイル蛋白質をコードする7種類のmcp^+遺伝子群の機能解析を進めた。一方、減数分裂チェックポイント制御を担うリン酸化カスケードを決定した。さらに、多種類のポリAを持つ非翻訳性RNA(pncRNA)を世界に先駆けて見出した。細胞周期チェックポイント因子(Cyclin G,PP2A)についても機能解析を進めてきた。我々が初めて単離した癌抑制遺伝子LATS2のノックアウトマウスを作製して、その表現型を観察してきた。類似なLATS1のノックアウトマウス作製も順調に進んでいるので今年度中に表現型の解析を終了したい。この他、Cyclin G,Lats1,Lat2のモノクローナル抗体作製にも成功したので、これらを用いて分子細胞生物学的な実験を進めている。血液細胞特異的に発現している遺伝子群(発現特化型PREB cDNA)を包括的に単離し、それらを貼り付けたマイクロアレイを作成することでタカラバイオ(株)による商品化に成功した(技術移転)。自己免疫疾患特異的な遺伝子を包括的に単離するうち、本年度は動脈炎について100種類以上の特異的な遺伝子の単離に成功した。これらについてリアルタイムPCRにより各患者個別の発現量を測定しながら病態との関連を解析しつつある。
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