研究課題
基盤研究(S)
素粒子の崩壊に現れ、また宇宙の物質-反物質非対称の原因ともいわれるCP非保存の起源は謎のままである。標準理論はCP非保存をK-M行列要素の位相として組み込むが、この形のCP非保存は電気双極子モーメント(EDM)に非常に小さな値しか与えない。一方、超対称理論など標準理論を超える理論はEDMに有限な値を予言する。本研究は、このようにEDMが標準理論を超える物理をプローブする有望な観測量であることに着目し、CP非保存を通じた素粒子像の解明のために新しいタイプの核スピンメーザーによる129Xe原子EDM高感度探索手法を開発した。EDMの高感度検出には、スピン歳差周波数の電場反転に伴う変化を検出する必要がある。このため当グループ発案による、光ポンピング法で偏極した129Xe原子核スピンの歳差をmGレベルの低磁場において半永久的に維持する光検出-外部帰還型核スピンメーザーを実現、スピン歳差持続の実証を行なった。ついで磁気シールドの強化、ソレノイド磁場の均一性・安定度の改良、高精度の磁場計測技術と歳差検出手法の開発を行なった。その結果、歳差周波数精度がΔv∝1/T^<1〜3/2>と測定時間Tとともに急速に向上することを確認、T=30000sの測定時間でΔv=9.3nHz(Δd〜9×10^<-28>ecmに相当)の周波数精度に到達した。また一連の性能評価実験から、これより長時間では昼間の気温上昇や送電線・電車走行等に起因すると見られる周波数変動が問題となることがわかった。これらの結果は、今後のEDM本格測定に向けた装置高度化への明確な指針と、現在の129Xe原子EDM実験上限値の1-2桁下の領域の探索への目途を与えた。また八重極集団性のために2-3桁増強されたEDMを持つと期待される不安定領域の原子核をも対象とすべく、EDM実験に向けた停止・収集・引き出しの技術を開発し、4%の収集効率を達成した。
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http://yap.nucl.ap.titech.ac.jp/AsahiLabJ/EdmGroup.html