研究概要 |
平成16年度に引き続き,鹿児島空港を基地として,東シナ海東部海上における梅雨前線帯のメソ対流系の発生・発達機構に関する航空機観測を実施した.雲解像数値モデルによる予報実験にもとづき飛行経路を決定し,2005年6月23日と24日に高度500mの気温・露点と風の観測,及びドロップゾンデ観測を実施した.梅雨前線及び水蒸気前線を南北に横断する観測を行うことができ,その構造に関する新たな知見を得た.また,飛行経路を決定するために行った雲解像数値モデルを用いた予報実験により雲解像数値モデルの性能を確かめることができた. 平成17年度に取得した航空機観測データと平成16年度に取得した観測データを解析し,数値実験結果と比較することにより,梅雨前線の南側に存在する水蒸気前線の実態を明らかにするとともに,梅雨前線にともなう降水システムの北側に新たな降水システムが形成され,梅雨前線がおきかわるという現象が存在する可能性を示した.梅雨期間を通して雲解像数値モデルを用いた予報実験を行い、出力結果を保存し気候モデルの検証用データベースを作成した. これらの研究成果を日本気象学会の研究集会や,台湾と韓国のレーダー気象学会の招待講演で発表した.又,2006年2月24日に,独立行政法人情報通信研究機構沖縄亜熱帯計測技術センターにおいて,韓国と台湾の研究者の参加を得て「QPE/QPF Workshop in Okinawa」を開催し,東シナ海上の梅雨前線の構造に関する観測・研究方法について議論した.
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