研究課題
研究実施計画に従って研究を進め、以下の成果を得た。(1)英国と南中国の地質調査と資料収集を行った。収集した試料数は約1200で、それらは全て既に薄片化され、顕鏡し、鉱物組み合わせの同定作業が終わり、変成鉱物の化学分析を始めた。野外調査の結果、世界の標準とされてきた、英国のダルラデイアン変成帯は厚さ2km程度の薄い板状体で、上位と下位をそれぞれ正断層、逆断層で区切られ、構造的中位に最高変成度を持つ地質体であることが判明した。上位と下位の地質体はほぼ非変成であるが下位の地質体に低圧型接触変成作用を与えている。アングルシー島他の調査から、英国は衝突型造山帯の他に、付加体を特徴とする太平洋型造山帯が2個存在することを明らかにした。英国の主体は原生代最末期から古生代前期にかけて、2回の太平洋型造山運動と1回の衝突型造山運動でできたことが判明した。これらの成果は2005年度の合同学会を皮切りに継続的に発表、論文化を進める予定である。(2)28-27億年前の西オーストラリアの洪水玄武岩の岩石学的記載が終わり、REEの分析を進めている。同時に文献学から、この時期の洪水玄武岩が世界の30個の太古代の地塊の90%に噴出していることを突き止めた。つまり全球的な洪水玄武岩の噴出を示唆している。8-5億年前の沈み込み帯深部の温度構造を広域変成岩の温度・圧力・年代のコンパイルから再検討し、成果を論文化した(丸山ほか)。(3)地球史を通した表層環境変化を微量元素の分析を通じて進めてきたが、本年度の成果として、中国のP/T境界掘削および原生代末の全球凍結直後の礁性石灰岩(ロシア)の記録を磯崎が論文化した。(4)生命化石は、31億年前(西オーストラリア)の保存良好な微化石の記載(上野ほか)、その微化石の二次元組成図(伊規須ほか)、36.7億年前の世界最古の浅海光合成化石(?)の記載と炭素同位体分析(圦本ほか)を行い、一部は論文化され、一部は準備中である。
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