研究概要 |
1)生きたマウス個体内におけるタンパク質の核内移行検出プローブを開発した.311アミノ酸からなるrenilla luciferase(RLuc)のN末から229番目で切断すると,splitしたRLucがプロテインスプライシングにより効率よく再構成されることを見出した.このsplit RLucを用いて,androgen receptor(AR),glucocorticoid receptor(GR)の核内移行検出法を開発した.procymidoneやPCBをマウスの腹腔に投与すると,脳内のARの働きが抑制されることを明らかにした(PNAS,101,11542(2004)).マウスがストレスを感受した時に分泌されるcorticosteroneを,マウス個体非侵襲的に検出できることを実証した(投稿準備中). 2)細胞内小胞(ER)に移行するタンパク質を同定するプローブ分子を開発した.プローブを連結した被検タンパク質がERに輸送されると,ER内でプロテインスプライシング反応によりGFPが形成されることを示した.cDNAライブラリーにプローブを連結し,ER移行タンパク質を網羅解析する手法を開発した.1,100クローンの遺伝子解析を行い,109種のER移行タンパク質の同定に成功した(Nucl.Acid Res.,33,e34(2005)). 3)ミトコンドリア膜間腔(IMS)局在シグナル配列を同定した.IMSに局在するSmacタンパク質にランダムにミューテーションを加え,IMS局在に重要なアミノ酸を同定した.その結果,Smacのミトコンドリアシグナル配列にAVP14アミノ酸を付加した配列が,IMSシグナル配列として機能することを明らかにした(投稿準備中). 4)細胞内での蛋白質リン酸化をマルチカラーイメージングすべく,一波長励起二波長測光型の蛍光プローブ(cyan-,green-,yellow-sinphos)を開発した(Anal.Chem.,76,6144(2004)). 5)核内受容体のアゴニスト及びアンタゴニストを簡便にスクリーニング出来る蛍光プローブ(SCCoR)を開発した(Anal.Chem.,76,2181(2004)). 6)核酸塩基誘導体を走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針として用いることによって,探針分子と相補的な核酸塩基を選択的に識別できることを見出した.これにより,ペプチド核酸の配列およびその一塩基多型(SNPs)の直接可視化検出が可能であることを明らかにした(投稿中).
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