研究概要 |
前年度より引き続き,マイクロ流路内で細胞を高速分離可能なセルソーティングシステムに用いるための熱流体高機能プロセスの開発を進めた. 磁性粒子と抗原抗体反応を用いて特定の細胞を分離するシステムの開発については,ラミネーション原理により高速に混合するマイクロ混合器の改良設計を三次元数値シミュレーションを用いて行った.混合器流路の回転方向を交互にすることにより混合性能を約50%向上させられることを示した.さらに,この数値計算による設計に基づく混合器を試作し実験的に評価を行った.また,マイクロ分離器についても数値シミュレーションを用いて設計し,さらにこれらを一枚のチップに統合したシステムのプロトタイプを試作した. 新たなセルソーティング原理としては,抗原抗体反応による特定細胞の壁面への接着性を利用したセル分別法の基礎原理についての探究を行った.新材料パリレンAMをコーティングした壁面を持っ流路を製作し,特定細胞の流下速度がそれ以外の細胞に比して減速されることを実験的に確認することにより,セル分別の原理を検証した. また,温度感受性ゲルおよびコーンプレート装置を用いたセルソーティングの原理も実験的に検証した. これら新たなセルソーティング原理の探求により,ある条件では既存の磁性粒子を用いるものに比してよりシンプルな分離デバイスが開発可能であることを示した.また,これら異なる原理のセルソータで予想される利点・欠点より,これら3つの方法を組み合わせたサイクルによって効率的に細胞の採取するシステムについての検討を行った.
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