研究分担者 |
菊池 安行 千葉大学, 名誉教授 (10009235)
栃原 裕 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (50095907)
垣鍔 直 名城大学, 理工学部, 教授 (30259874)
岩永 光一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70160124)
下村 義弘 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60323432)
|
研究概要 |
人工的な光環境,音環境などの物理的環境と,現代社会において重要な精神ストレスに対するヒトの生理反応を検討し,そこに内在する多型性を明らかにすることを目的として研究を行い,以下の成果を得た。 1.光の照度,色温度が味覚閾値,唾液分泌量,胃電図などに及ぼす影響について40名の被験者で検討し,さらに遺伝的影響が強く表れる性格特性との関連を検討した。その結果,味覚関連の生理反応に対する光の影響が被験者の属性(性格特性など)によって異なることを初めて明らかにした。 2.音に対する反応性が時刻により異なるのか,それが概日リズムの個体差(朝型,夜型)により変化するのかを検討し,朝型・夜型により音に対する反応が異なることを初めて明らかにした。つぎに,合成音声を検討し,合成音声の性差および声質が自律神経系と中枢神経系,心理的応答において聴取者の性差と複合的に作用しあうことを初めて明らかにした。 3.低湿度環境の生理反応について検討した結果,高齢者の鼻腔粘膜輸送速度が増加し,若年者より低湿度の影響を受けやすいことを認めた。低酸素に対する耐性の違いが低酸素下加温時の体温調節反応に及ぼす影響を54名の被験者で検討し,低酸素耐性が強い被験者群の方が深部温維持に有利であることを明らかにした。 4.暑熱・寒冷時に曝露された時の発汗量と酸素摂取量が亢進する閾値で規定されるzoneを検討し,皮下脂肪率などがzoneに影響を及ぼすだけでなく反応の多型性を決定する要因と考えられる非温熱性要因の影響を受けることを明らかにした。 5.精神ストレスに対する循環器反応を59名の被験者で検討し,血圧の上昇に対して主に心拍出量の増大と主に総末梢血管抵抗の増大が寄与する2つのタイプに大別できること,さらに反応の安定性や大きさからサブタイプが存在する可能性を明らかにした。
|