研究課題/領域番号 |
15107006
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安河内 朗 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (20136568)
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研究分担者 |
山崎 和彦 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (00145161)
綿貫 茂喜 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (00158677)
樋口 重和 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・精神生理部, 室長 (00292376)
前田 享史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90301407)
石橋 圭太 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助教 (40325569)
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キーワード | 光環境 / 温熱環境 / 生理的多型性 / 適応能 / 機能的潜在性 |
研究概要 |
照明光要因に対する反応については、 (1)若年成人女性の卵胞期と黄体期の各期間における夜間LED光刺激によるメラトニン分泌抑制率(MS)を調べた結果、MSは卵胞期に大きく黄体期では有意に小さくなることが示された。MSにおける性差は性周期によって異なることが示唆された。 (2)夜間の光曝露によるMSと生体リズムの位相後退量の関係を調べた結果、両者とも個体差は大きく、両者の間に有意な正の相関があり、MSの大きいものは光による体内時計の位相後退量も大きいことが示された。 (3)木材の光反射特性に依存した夜間と早朝の短波長光と長波長光の生理的影響について検討した。その結果、夜間では短長光は心臓及び血管運動支配の交感神経系を亢進し、長波長光は脳の覚醒水準を適度に高めることが示された。また早朝では逆に短波長光の方が脳の覚醒水準を高めることが示された。光の生理的効果について、波長と生体リズムの交互作用を考慮する必要性が示唆された。 温熱要因に対する反応については、 (4)寒冷曝露時の耐寒反応と基礎代謝量、血管調節機能との関係から耐寒性を総合的に評価した。その結果、生活習慣の中で運動や食事の習慣が代謝型や断熱型の耐寒性のタイプに影響を及ぼすことが明らかとなった。特に適度な運動は、基礎代謝を高め、血管調節機能を向上させることから耐寒性の向上に密接に関連する要因と思われた。 (5)29℃から24℃への移動による急激な室温変化時における生理的応答について、若年女子と高齢者を対象に観察した。室温変化に対して温冷感の小さな群と大きな群に分類したところ、「暑がり」「寒がり」とは関係を示さず、末梢部皮膚温との関連性が示唆された。 (6)体位変換時の循環調節反応の生理的多型性を考察した。暑熱環境下の体位変換時循環調節反応は熱的中立環境下と比べ個人間変動よりもむしろ個人内変動の増大として特徴付けられた。つまり暑熱環境下の直立耐性の低下において個人内の日間変動の寄与が大きいと考えられた。
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