研究課題/領域番号 |
15108001
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
白石 友紀 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10033268)
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研究分担者 |
一瀬 勇規 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50213004)
豊田 和弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (50294442)
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キーワード | サプレッサー / アピラーゼ / 細胞壁 / 植物 / 免疫学 |
研究概要 |
本研究では、病原微生物シグナルについて、そのシグナルが認識され植物感染の成否に至るメカニズムとともに情報伝達系を植物のオルガネラの応答及びオルガネラ間のクロストークという切り口で解明する。本年度は1)植物病原細菌のべん毛タンパク質フラジェリンの受容体同定のアプローチとして、フラジェリンと結合する受容体型タンパク質リン酸化酵素の網羅的スクリーニングを行った。シロイヌナズナ完全長cDNAを鋳型にin vitroで合成された約200の受容体型タンパク質リン酸化酵素についてフラジェリンとの結合能をビアコアを用いて解析し、2種のタンパク質を発見した。それらの一つについては遺伝子にT-DNAタグが挿入された変異株を入手し、フラジェリン応答を調べた。その結果、カロースの蓄積量の低下が観察された。本遺伝子産物のフラジェリン認識における機能解析を引き続き行っている。一方、病原微生物(糸状菌)が生産する病原性因子(サプレッサー)の宿主植物における分子標的の1つが植物の最表層(細胞壁)に存在するアピラーゼであることを明らかにした。実際、アピラーゼをノックダウンしたベンサミアーナタバコには、病原糸状菌や細菌に対する抵抗性(免疫)が一部崩壊し、それらの感染に伴う激しい病徴が認められたのに対し、逆に、高発現させたタバコでは病原菌に対する抵抗性が付与された。付与された抵抗性の分子機構について解析した結果、既知の情報伝達系の下に発現するPal、PR-1、hsr203Jなどの遺伝子が恒常発現している形質転換体と、逆に発現が認められないものがあった。また、PR-1の上流で働くサリチル酸を定量した結果、野生型と比べて増加しているものと、そうでない形質転換体があることが明らかとなった。以上から、アピラーゼは抵抗性に深く関与しているが、既知の情報伝達系以外の経路を活性化しているものと考えられた。
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