魚介類におけるDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現情報解析手法の開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15108003
• 研究機関: 東京海洋大学(水産)
• 研究代表者: 青木 宙 東京海洋大学, 大学院・海洋科学技術研究科, 教授 (00051805)
• 研究分担者: 大平 剛 東京海洋大学, 大学院・海洋科学技術研究科, 助手 (10361809) ; 廣野 育生 東京海洋大学, 大学院・海洋科学技術研究科, 助教授 (00270926)
• キーワード: ヒラメ / cDNAマイクロアレイ / 遺伝子発現プロファイリング / 免疫・生体防御遺伝子 / 耐病性

研究概要

約4,000のヒラメcDNAクローンのEST解析により得られた配列情報を解析し、異なる遺伝情報をコードしていると考えられた1,218クローンを選び、cDNAマイクロアレイを作製した。このマイクロアレイには、698の既知遺伝子および520の機能未知遺伝子が含まれていた。このcDNAマイクロアレイを用いて、まず、ヒラメのウイルス性出血性敗血症(VHS)に対して有効なDNAワクチン(VHS-gワクチン)を接種した場合に、どのような免疫系が活性化されるのかを調べた。VHS-gDNAワクチンを接種した場合、インターフェロンネットワークシステム関連遺伝子の発現が上昇することが明らかとなった。対照実験としてDNAワクチンとしては有効ではないVHS-nワクチンを接種した場合、インターフェロンネットワークシステム関連遺伝子の発現が上昇することはなかった。これらのことから、インターフェロンネットワークシステム関連遺伝子の発現がワクチン効果の指標になることが示唆された。
Edwardsiella tardaに対して感受性の異なる2グループのヒラメにおいて、発現している遺伝子の違いの有無をcDNAマイクロアレイで解析したところ、複数の遺伝子の発現パターンが異なっていた。特に、種々ケモカインの発現量ならびに発現時期が2グループ間で顕著に異なっており、ケモカインが本菌感染症に対する耐病性に関与していることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Hirono, I., Yazawa, R., Aoki, T.: "Expressed sequence tag of Japanese flounder (Paralichthys olivaceus) skin cells"Fisheries Science. 70. 195-197 (2004)
• [文献書誌] Srisapoome, P., Ohira, T., Hirono, I., Aoki, T.: "Cloning, characterization and expression of cDNA containing major histocompatibility complex class I, IIα and IIβ of Japanese flounder Paralichthys olivaceus"Fisheries Science. 70. 264-276 (2004)
• [文献書誌] Caipang, C.M., Hirono, I., Aoki, T.: "In vitro inhibition of fish rhabdovirus by Japanese flounder, Paralichthys olivaceus Mx"Virology. 317. 373-382 (2003)
• [文献書誌] Nam, B-H., I.Hirono, Aoki, T.: "Bulk isolation of immune response-related genes by expressed sequenced tags of Japanese flounder Paralichthys olivaceus leucocytes stimulated with Con A/PMA"Fish and Shellfish Immunology. 14. 467-476 (2003)
• [文献書誌] Nam, B-H., Hirono, I., Aoki, T.: "The four TCR genes of teleost fish : the cDNA and genomic DNA analysis of Japanese flounder TCR α, β, γ, and δ chains"J.Immunology. 170. 3081-3090 (2003)
• [文献書誌] Hirono, I., Nam, B.-H., Enomoto, J., Uchino, K., Aoki, T.: "Cloning and characterization of a cDNA encoding Japanese flounder Paralichthys olivaceus IgD"Fish Shellfish Immunology. 15. 63-70 (2003)