研究概要 |
クルマエビ類cDNAを2,036クローンスポットしたマイクロアレイver.2.0(ウシエビ1,282クローン、クルマエビ754クローン)を作製した。クルマエビに免疫賦活剤であるペプチドグリカン(PG)を投与し、血球における遺伝子発現解析を行った。PGを投与したクルマエビ血球において特異的に複数の遺伝子発現変化が観察された。特に、PG投与後1日目および14日目において発現量が上昇した遺伝子が多く見られ、特に、CrustinやClottable protein等の甲殻類の生体防御関連遺伝子において、ペプチドグリカン投与により発現量の増加が観察された。以上のように、エビの生体防御に関与する遺伝子の発現変動を本cDNAマイクロアレイにより解析することが出来た。さらに、ヒラメcDNAを1,946クローンスポットしたマイクロアレイver.4.0(ヒラメの既知遺伝子ならびにホモログ遺伝子が1,065クローンおよび未知遺伝子が881クローン)を作製した。ヒラメの脳細胞を取り出し、初期培養を行った。脳細胞をポリI:Cで処理することにより、免疫に関与するサイトカイン等の遺伝子の発現が確認され、神経系においても免疫関連遺伝子が機能していることが示唆された。また、本実験以外にも、DNAワクチン接種ならびに病原細菌感染ヒラメ腎臓の遺伝子発現解析を行い、従来のマイクロアレイよりも詳細に遺伝子発現プロファイリングを解明することができた。ヒラメラブドウイルスに対するDNAワクチンを接種した際に、遺伝子発現量が顕著に増加する遺伝子は、ヒトで報告されているインターフェロン誘導遺伝子ISG10と類似することが明らかとなった。
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