研究概要 |
ブリおよびマダイの腎臓および脾臓細胞をマイトジェンで刺激し、一定時間毎にRNAを抽出しcDNAライブラリーを構築した。次いで、これらcDNAライブラリーよりランダムにクローンを選択し塩基配列の一部を解析するEST解析を実施した。次いで、DNA配列情報解析を行ったところ、ブリでは1,001種類のユニーク配列が得られ、マダイでは1,095のユニーク配列が得られた。これらのユニークな配列をすべて用い、ブリおよびマダイのcDNAマイクロアレイを作製した。このマイクロアレイを用いて、ブリの腎臓細胞の遺伝子発現プロファイリングを実施した。ブリの腎臓細胞を細菌内毒素であるリポ多糖(LPS)あるいはマイトジェンであるコンカナバリンA (ConA)で刺激し、一定時間毎にRNAを抽出し、遺伝子発現プロファイリングを行ったところ、LPS刺激では今回発現解析を行った遺伝子の約1割で発現誘導がみられ、特に炎症性サイトカインであるインターロイキン1やケモカインで顕著な発現誘導がみられた。しかし、ConA刺激では特に顕著に発現変動した遺伝子はみられなかった。本マイクロアレイ解析により、ブリの遺伝子発現プロファイリングが可能であることが明らかとなった。 ヒラメの病原細菌であるStreptococcus inieaeとEdwardsiella tardaとのホルマリン不活化菌体で別々に接種したヒラメの腎臓において発現している遺伝子の発現プロファイリングを行った。異なる2種類のホルマリン不活化菌体処理により発現が誘導されてくる遺伝子は共通なものもあるが、異なる遺伝子も多数発現誘導されてくることを明らかにした。この比較解析より、これまで機能が明らかにされていない機能未知遺伝子が多数含まれていることを明らかにし、これらの遺伝子が新規に免疫に関連する遺伝子であることが示唆された。
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