研究課題/領域番号 |
15109004
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本間 研一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40113625)
|
研究分担者 |
本間 さと 北海道大学, 教授 (20142713)
棚橋 祐典 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (50374228)
近江谷 克祐 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20223951)
仲村 朋子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任助教 (30451397)
|
キーワード | 生物時計 / 視交叉上核 / 時計遺伝子 / 末梢振動系 / 分子振動 / シグナルトランスダクション / 生物発光 / オートフィードバックループ |
研究概要 |
本研究の目的は、哺乳類の生物時計を多数の概日振動体からなる階層的システムとしてとらえ、その機能を分子レベルから細胞、個体レベルで総合的に理解することにある。 1.多重ループからなる分子振動系 1)時計遺伝子発現の発光モニター系を導入した株化細胞にCry1/Cry2蛋白を強制発現させると、Per1,Bmal1発現リズムの周期は変わらないが、振幅が大幅に低下した。その際、関連ループであるBmal1ループの促進系であるRORαmRNAが低下し、抑制系であるRevErbαmRNAが増加した。リズム振幅の減弱はBmal1ループの作動によるものと考えられる。 2)Naチャネル阻害剤であるTTXを培養視交叉上核に作用させると、コアループや関連ループに関与する遺伝子の発現リズムには影響しないが、行動リズムの発現に関与するPK2やBDNF遺伝子の発現リズムが大幅に減衰した。行動リズムの出力系には視交叉上核のシナプス連絡が必要と考えられる。 2.システムとしての視交叉上核 極端な光周期に暴露したマウスの視交叉上核には、少なくとも3つの異なる振動系が部位別に存在し、ある振動系は明暗サイクルに同調し、他の振動系は脱同調した行動成分と位相関係を維持した。 3.視交叉上核振動系と末梢振動系 1)メタンフェタミンを慢性投与して行動リズムを誘導したマウスの視交叉上核および他の脳部位の培養系を用いて、時計遺伝子発現リズムを部位別に解析した結果、中脳における時計遺伝子発現リズムがメタンフェタミン誘導行動リズムと一定の位相関係を維持していることが判明した。 2)明暗サイクルへの再同調過程で、回転輪を含む新奇環境に暴露すると、行動リズムの再同調が促進される。その際、筋肉や肺臓の末梢振動系の再同調も促進されるが、肝臓の末梢振動系は促進されなかった。新奇環境による再同調促進作用は末梢振動体への作用と考えられる。
|