研究課題
小胞体の新規分子の検索で見出されたTRICチャネルは、分子量33-kdaの膜タンパク質である。生化学的解析にて、TRICチャネルは3本の膜貫通セグメントを有するタンパク質が、ホモ三量体を形成するものと推定された。ウサギ骨格筋からの精製標品および遺伝子組み換えの標品の脂質二重膜再構成実験系で、TRICチャネルは一価陽イオン選択的なイオンチャネルを形成する。胎生期心不全による致死性を示すTRICチャネルの完全欠損マウスでは、心筋細胞におけるリアノジン受容体によるCa2+放出が抑制されており、小胞体のCa2+過剰負荷が観察された。TRICチャネルの欠乏マウスの骨格筋では、リアノジン受容体にCa2+放出の部分的な抑制、小胞体Ca2+放出に伴う過剰な膜電位の発生などが観察された。以前からの生理学的推論では、小胞体からの陽イオンであるCa2+放出に伴い、負の荷電が小胞体内腔側で発生するため、効率的なCa2+放出を成立させるためには、膜荷電を素早く中和するカウンターイオンの流入が想定されていた。したがって、細胞内環境で主にK+を透過するTRICチャネルは、小胞体Ca2+放出に伴い発生する膜荷電を中和するカウンターイオンチャネルとして機能するものと考察される。
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http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/biochem/