研究課題/領域番号 |
15109006
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 紀夫 大阪大学, 医学研究科, 教授 (00144478)
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研究分担者 |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
考藤 達哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80372613)
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30362700)
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キーワード | C型肝炎 / 樹状細胞 / 自然免疫 / Toll様レセプター / RIG-I / インターフェロン |
研究概要 |
C型慢性肝炎において樹状細胞(DC)の数的減少と機能低下が病態に関与することが報告されている。一方、DCはウイルス構成成分を認識するToll様受容体(TLR)やTLR非依存的にウイルスを認識しIFNを誘導するRIG-Iを発現しており、I型IFNや炎症性サイトカインの産生を介して免疫系を活性化させる。HCVNS3/4A蛋白がTLR3/RIG-Iの経路を阻害することが報告されており、HCVによる先天免疫系の抑制と持続感染との関連が示唆されている。本研究ではC型慢性肝炎におけるミエロイドDC(MDC)のTLR/RIG-Iの意義を明らかにするために、その発現と機能を検討した。C型慢性肝炎患者39例と非感染者52例よりMDCを分離し、TLR及びRIG-Iの発現をReal-Time PCRを用いて定量したところ、肝炎群においてTLR2、TLR4、RIG-Iの発現は有意に高値であったが、TLR3、MDA5は両群で差を認めなかった。MDCの機能解析として、各TLR/RIG-Iリガンド刺激を加えたMDCにおけるIFNβ、TNFα、IL-12p70の誘導は肝炎群で著明に低値であった。次に、シグナル伝達経路に必須の各分子の発現を調べたところ、特にTLR3、TLR4経路に不可欠なTRIFとTRAF6は肝炎群で低発現であった。以上より、MDCにおいて、HCV感染によるTLR3-TRIF-TRAF6への干渉によるサイトカイン誘導機能の低下の機序が持続感染の一因である可能性が考えられ、今後MDC機能を賦活するための治療標的になる可能性が示唆された。
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