研究概要 |
1.HLA-A^*2402(日本人の約60%を占める)拘束性9-mer WT1ペプチドの同定 HLA-A^*2402トランスジェニック(Tg)マウスを用いて,HLA-A^*2402分子に対するbinding scoreの高い21種類の9-mer WT1ペプチドについて,WT1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導能を解析し,TgマウスでWT1特異的CTLを誘導しえたWT1ペプチドについては,in vitroでヒトの末梢血単核球(PBMC)からも,WT1特異的CTLを誘導しうるか否かを解析したところ,WT1タンパクのアミノ酸配列中のa.a.235-243 CMTWNQMNLの第2位をYに変えた改変体が,最も強力に,TgマウスとヒトPBMCの両者において,WT1特異的CTLを誘導することが明らかになった。このペプチドが臨床応用に最適と考えられる。 2.WT1ペプチドを用いた癌の免疫療法の第I相臨床試験 倫理委員会の承認のもとで,上記のHLA-A*2402拘束性及びHLA-A*0201拘束性のWT1ペプチドの安全性をみるための第1相臨床試験を開始し、最近終了した。MDS (RAEB-t)の1例と,MDSから白血病化した白血病の1例では,HLA-A*2402拘束性の改変型9-mer WT1ペプチドの0.3mgの1回投与で著効を呈し,白血病細胞の著減(前者でWT1レベルが1/70に低下,後者ではblastが50%→11%に減少)を見た。これらの症例ではWT1特異的CTLの著増が見られている。
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