移植腎へのHGF遺伝子導入の臨床研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15109009
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 奥山 明彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20093388)
• 研究分担者: 今井 圓裕 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00223305) ; 高原 史郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70179547)
• キーワード: 腎臓移植 / 遺伝子治療 / 臓器保存 / Hepatocyte Growth Facto / electroporation法 / 線維化 / 慢性拒絶反応

研究概要

(1)ブタ移植腎へのelectroporation法による、HGF遺伝子直接導入(安全性試験)
1)electroporation法を用いたヒト腎臓と解剖学的に類似したブタ腎臓を用いて、移植腎へのex vivo遺伝子導入に関して、我々の開発したバスタブ型電極や、electroporationの電圧などの条件設定について、安全性面での検討を行い、移植腎のみに安全に遺伝子が導入されることを確認した。また、腎機能、肝機能、末梢血検査に異常を認めないことを確認した。
2)プラスミドを用いた遺伝子導入の最適条件を設定するための検討を行った。
3)electroporation法によって導入されたHGF遺伝子が移植腎保護効果を有するかを、組織学的に検討を行い、vehicle遺伝子投与群に比して、初期の尿細管間質障害を抑制すると共に、それに引き続いて起こる間質線維化を抑制することを確認した。
(2)ヒトでの臨床試験の基本的な条件設定
1)免疫抑制療法を決定した。
2)短期評価項目の確立:阻血による腎障害および免疫抑制剤による薬剤性腎障害の評価を行う(現在進行中の移植腎生検サンプルを用いたアポトーシスの診断法を用いて移植後、経時的に腎生検・病理診断を行い、HGF遺伝子導入効果を評価する最適なタイミングを決定する(現在実験計継続中)。
3)ヒトに用いるelectroporation法の器具そのものを開発する(現在実験計継続中)。

研究成果

• [文献書誌] S.Kobayashi, K.Dono, T.Tanaka, S.Takahara, et al.: "Gene transfer into the liver by plasmid injection into the portal vein combined with electroporation"J Gene Med. 5. 201-208 (2003)
• [文献書誌] F.Xue, T.Takahara, Y.Yata, Y.Kuwabara, E.Shinno, K.Nonome, M.Minemura, S.Takahara: "Hepatocyte growth factor gene therapy accelerates regeneration in cirrhotic mouse livers after hepatectomy"GUT. 52. 694-700 (2003)
• [文献書誌] K.Yazawa, Y.Isaka, S.Takahara, E.Imai, et al.: "Direct HGF gene transfer into kidney suppressed cyclosporine A nephropathy."Nephrol Dial Transplant. (In press). (2004)
• [文献書誌] S.Kobayashi, K.Dono, T.Tanaka, T.Kato, H.Nagano, K.Umeshita, et al.: "Rapid recovery from liver injury in hepatectomized rat by naked HGF gene transfer with in vivo electoroporation"Hepatology. (In press). (2004)