平成15年度には、XMLのような構造化文書の代数的構造を的確に捉え、効率のよいプログラムを構築するため言語機能を追究した。構造化文書自体にプログラムのコードを内包するProgrammable Structured Document(PSD)を提案し、当該文書に関する操作を文書内に記述することにより、効果的な文書処理方式が実現できることを確認した。この考察に基づき、計算機内に構造化文書を実現するDocument Object Model(DOM)サーバとコードの評価・実行系との間の効率的なデータ授受の仕組みを実現し、その有効性を確認した。DOMで表現された構造化文書の中に含まれるプログラムが、その構造化文書の一部しか必要としない場合に、文書全体ではなく、必要とされる最小部分を受け渡す「剪定木方式」と、必要に応じて受け渡す「応需方式」の2方式を提案し、プロトタイプを作成した。PSDは構造化文書の効率的な変換に適しているほか、変換プログラムを操作するメタプログラムを運算随伴機構として実現する際にも有効である。さらに、本年度の研究として、運算随伴機構に必要とされるパターンマッチングアルゴリズムについて、決定性のある高階パターンマッチングの理論的考察を行ない、それに基づくプロトタイプを作成して有効性を確認した。この成果は、これまでのマッチングアルゴリズムには見られなかった決定性を有しており、変換アルゴリズムを捉える際の機械的処理に適している。 上記の研究成果は、国際会議・学会大会で発表したほか、論文として公表した。
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