研究概要 |
近年,「不特定多数の計算機を利用してさまざまなサービスを提供する」という新しいパラダイム(本研究計画調書では、Gridコンピューティングと呼ぶ)を実現するためのハードウェアインフラが整いつつある. Gridコンピューティングを実現するためのソフトウェアは,サービスの機能要求以外に,サービス提供者,リソース提供者,サービス利用者の,さまざまな要求を満たす必要がある.そのために,従来とくらべて複雑な環境を想定する必要がある.さらに,これらのポリシや実行環境は頻繁に変更されることが予想され,それらを想定していない従来の分散ソフトウェアの構築方法では対応できない. そこで、本計画では,Gridコンピューティングのための柔軟なソフトウェア(Gridエージェント)を構築するために,その設計単位をその機能を実現するロジック,エージェントの振舞いの選択肢を表現したパターン,サービスやリソース提供者や利用者のポリシの3つに分ける.そして,実行環境に合わせて,適切なエージェントの振舞いを選択する.この選択基準は,効率やセキュリティなどさまざまな観点で数値化されたコストである.また,エージェントの振る舞いを実行するためのソフトウェア基盤が,環境にない場合,動的にそれが配置されるように,エージェントプラットフォームやリソースへのアクセスインターフェースをコンポーネント化しモバイルエージェント(ミドルウェアエージェント)として自律性を持たせている.これにより,ソフトウェア基盤自体のスリム化とともに,リソース提供者の端末に必要な機能がない場合でもエージェントがその利用が可能になる.
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