研究概要 |
京都大学では,厳密なオントロジーを人が記述することは容易でないとの立場から,人間が既に表現したコンテンツからオントロジーを抽出する研究を進めた.Web情報に関しては,既存データからのオントロジーの抽出に取り組み,カテゴリーを特徴付けるキーワードの自動抽出や,表データからのオントロジーの抽出などを試みた.また,既存オントロジーを整理して一覧とし,新しいオントロジーの設計を支援する研究を行った.Webサービスに関しては,ベストプラクティスを蓄積し再利用する研究を行った. シナリオで記述されたWebサービスのセマンティックスをOWL-Sにより記述しプラニングなどの機械処理の入力とする試みである.さらに,オントロジーを用いてコミュニティの分析や支援を行う研究を進めた.コミュニティの情報共有をメタデータによって加速する試みや,Web情報を用いた社会ネットワーク分析の品質をメタデータによって高める研究などを行った. 大阪大学では,人間中心のセマンティックWebのためのオントロジー開発には小規模で分散したオントロジーを状況に応じてマージしたり,マッピングしたりする技術が不可欠であるとの考えから,オントロジー分散開発過程を包括的に支援する計算機環境が開発された.また,世の中に多く存在するロール概念を対象にして,それが持つコンテキスト依存性に基づき,階層性や分解可能性といった観点からロール概念間の関係を捉える理論を整備し,それを反映したロール概念階層の構築を支援するツールの設計を行った. 東京大学では,異なる「文化」に属するメンバ間の協調作業における,協調・交渉オントロジーの発現と発展に着目して研究が進められた.研究においては,個々の文化固有のオントロジーがどのように融合され新たなオントロジーが発現するのか,個々のメンバが使用するオントロジーが協調作業における相互理解の過程においてどのように変化していくのか,および,オントロジーの時間遷移のための可視化ツールのインタラクションデザインという,三つの課題について研究を進めた.
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