研究課題
本研究では、個々人がモノに対してもつイメージに着目して、モノがヒトに伝える感性情報を検討しようと試みている。実際には、モノからヒトへの情報の流れではなく、ヒトがモノから情報を取得する過程における情報の流れの中で、スキーマやメンタルモデルなどを含めた広義なイメージ処理を中核にすえて検討している。本年度は1)対象となるモノの整理、主に分類法の吟味、2)モノの情報が入力された際のヒトの情報処理、及び3)モノとヒトが相互作用する際のヒトの情報処理の検討から研究を構成した。1)昨年度以降続けられている対象となるモノの分類法については、自己組織化マップを用いた方法を検討した。また、2)モノに対するヒトの情報処理については、感情処理の神経科学的な知見を元にして、視覚画像に対する脳内感性情報処理を検討した。さらに、聴覚音声がもたらす発話者の人柄イメージや既存イメージと音声音響特性の関係から検討した。3)モノとヒトの相互作用については、銀行ATM機をシミュレートしてモノとヒトとのやりとりを分析した。これらの研究結果については、第6回日本感性工学会でシンポジウム「感性とイメージ」として中間報告を行った。この他、道具の運用における運動イメージなどについての実験系の確立及び予備実験を実施した。以上の研究は、モノには人間の接近回避行動に関わるようなモノの基礎的なデザインやヒトとモノとが相互作用することによって表現されるモノの機能がヒトとモノの間に介在する感性情報として主要な要素になっていることを示唆した。さらに、モノとヒトとの関わりによって生じる愛着や飽きといった関わりの時間的影響についても今後の研究に取り込む必要があると考えられた。
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感性工学研究論文集 5・4(発表予定)
第6回日本感性工学会大会予稿集2004
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