研究課題/領域番号 |
15200021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢島 美寛 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70134814)
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研究分担者 |
尾形 良彦 統計数理研究所, 調査実験解析系, 教授 (70000213)
久保川 達也 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20195499)
間瀬 茂 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (70108190)
福重 元嗣 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10208936)
丸山 祐造 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教授 (30304728)
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キーワード | 時空間相関分析 / 階層ベイズモデル / 経験ベイズモデル / Spatial AdaBoost / 確率伝播法 / クロスバリデーション法 / Space-time ETAS model / 時空間パネルデータ |
研究概要 |
本年度は外国人研究者を招いた国際研究集会を1回、分担者ごとの小規模な集会を随時開催した。また9月広島で開催された統計関連学会連合大会において各分担者が成果を発表した。本年度は研究期間の3年目にあたるが、時空間モデルに関してさらに精緻で改善された理論的な結果を導くとともに、実際データへの応用も精力的に行った。 国際研究集会では、近年注目を浴びている階層的時空間ベイズモデルに関して優れた業績を挙げている外国人研究者に講演いただき、このモデルの優れた点および今後改良・発展させるべき点について活発な討論を行った。特に時空間モデルではデータが大量になるためベイズモデルの事後分布が解析的に表現できない場合が多い。マルコフ連鎖モンテカルロ法と呼ばれるcomputer-intensiveな方法用いた計算方法の長所・改良すべき点などを議論した。 確率場の推測理論と応用では、昨年に続きクロスバリデーション法のノンパラメトリックあるいはセミパラメトリックな多変量時系列への応用方法を精緻にし、香港における呼吸器系疾病による入院患者への影響要因の相互関連の分析に用いた。 時空間点過程の推測理論と応用では、まず確率ネットワークの基本的アルゴリズムである確率伝播法をギッブス確率場として定式化し、その収束条件をみちびいた。また大地震後の余震発生率にたいする時空間モデルであるETASモデルを、余震の強さ(マグニチュード)をモデルに陽に組み込むことによりさらに適合度の高いモデルに改良した。 大規模データの推測理論と応用では、地表面を観測した多重分光画像から、土地被覆のカテゴリー分類をおこなうための判別機としてSpatial AdaBoostを提案し、マルコフ確率場をもちいた判別方法と同等の性能を有していることを示した。 小地域統計の推測理論と応用では、多重共線性を回避する方法として経験ベイズ法を提案した。また多変量正規分布の平均ベクトルにたいする新たな推定法を提案するとともにそのミニマックス性、許容性について明らかにした。 パネルデータの推測理論と応用では、地域ごとの所得格差・不平等にかんして実証分析を行いその空間的相互関連性について議論した。 本研究も三年目を終え、さらに時空間の構造を精緻にとらえるモデルの開発そしてその理論的性質・応用可能性に関し着実な進歩を達成できた。
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