研究課題
我々はこれまでに、両手に加えた刺激の時間順序判断は、腕を交差することにより逆転する傾向があることを示した。この現象は刺激が脳の中で空間内に定位された後にはじめて順序付けられることを示唆する。本年度は次の研究を行った。1.視覚(動き)刺激が両手刺激時間順序判断に与える効果(心理物理実験)昨年度までに、視覚刺激が片手の3本の指に加えた刺激の時間順序判断に大きな影響を与えることを明らかにした。本年度は、刺激時間差を変えて外乱の効果を調べた。刺激時間差が100ms程度のときには平均40%程度の正解率の低下が生じたが、300msでは正解率の低下は生じなかった。今後、動きの領域の活動が刺激時間差に依存して変化するかどうかを調べ、動きの領野の活動が体性感覚の時間順序判断に影響を及ぼすという仮説を検証する。2.マウスのimmediate early gene発現領域の解析昨年度までに得られたc-fosの免疫組織標本に対して、statistical parametric mappingの手法を新たに開発して適用した。組織標本をアトラスの標準脳に変形、標準化し、微小な区画内の陽性細胞を自動計測した上で、実験群と対照群の間の陽性細胞数を区画毎に検定し、標本全域で検定パラメータをカラー表示するという手法である。極めて有効な手法であることが確認された(特許出願中)。3.ラットの実験系の開発と電気生理学的研究引き続きラットに対して時間順序判断課題を訓練した。並行して、ラットに電極の慢性埋め込みを行いワイヤレスで神経活動を記録する技術の開発を進めた。
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Biogenic Amines (印刷中)