研究分担者 |
福井 壽男 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50090147)
服部 友一 名城大学, 理工学部, 助教授 (40172936)
赤堀 俊和 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (00324492)
鈴木 昭弘 大同特殊鋼(株), 技術開発研究所, 主任研究員
許 健司 アクトメント(株), 技術開発課, 研究員
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研究概要 |
骨代替器具や人工血管を構成するステント等の生体材料では、生体親和性が良好で弾性率が骨(20〜40GPa)類似であることに加え、高加工度成形が可能、すなわち超塑性で、変形に対して形状を保つことが重要であるために超弾性であることが望まれる。生体親和性に優れ、弾性率が骨類似である上記生体材料としてチタン合金が有利であることから、無毒性元素から構成され、低弾性率を示すチタン合金の開発が進められている。申請者らが中心となって開発を進めてきた生体用Ti-Nb-Ta-Zr系合金では、引張試験で超弾性を示す民生用超弾塑性チタン合金が示す場合の応力-歪曲線と同様な挙動が観察されており、超弾塑性発現の可能性が極めて高い。また、民生用超弾塑性チタン合金では、冷間加工性が極めて優れており(超塑性)、しかも高延性を保ったまま強化できるため、低弾性率を保ったまま超弾性で高強度とすることができるとされており、このような優れた力学的特性も生体用Ti-Nb-Ta-Zr系合金に付与することができると期待される。そこで、Ti-Nb-Ta-Zr系合金を基礎として、(1)超弾塑性を発現し、Ti-Nb-Ta-Zr系合金をベースとする低弾性率である無毒性元素からなるチタン合金を設計し、(2)超弾塑性発現のためのプロセッシングの確立、(3)超弾塑性発現機構の解明、(4)ナノスケールでの構造変調の解析、(5)その力学的特性および生体親和性評価、(6)ステント等の製造に匹敵する精密加工技術の確立、さらに(6)高分子との複合化技術までを確立することを本研究の目的とする。特に、弾性率では現在70GPa程度であるものを40GPa以下にすることを目標値として設定する。超弾性としては、弾性伸びが5%以上を目標値とする。また、生体材料としてだけでなく、福祉材料としても実用化する場合には低コストであることも重要であることから、低コスト合金とすることも念頭に置き研究・開発を行う。 ・溶体化処理を施したTi-29Nb-13Ta-4.6Zr(TNTZ)合金鍛造材のミクロ組織は,平均粒直径25μmをのβ単相であるのに対して,TNTZ合金線材のそれは線引き方向に伸長した超微細なβ結晶粒からなる。 ・TNTZ合金線材の負荷・除荷曲線は,見かけの降伏後においても弾性変形領域が存在する特異な変形挙動を示す。この場合,最大弾性ひずみ量は,それぞれ2.8%であり,溶体化処理を施したTNTZ合金それの2倍程度の値を示す。
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