研究課題/領域番号 |
15200041
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平岡 眞寛 京都大学, 医学研究科, 教授 (70173218)
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研究分担者 |
光森 通英 京都大学, 医学研究科, 講師 (10263089)
荒木 則雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (20362486)
川下 将一 京都大学, 工学研究科, 講師 (70314234)
小久保 正 中部大学, 総合工学研究所, 教授 (30027049)
川嵜 一博 高周波熱錬株式会社, 技術本部技術部, 取締役部長(研究職)
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キーワード | 温熱治療 / 温熱微小球 / 肝腫瘍 / 磁性微粒子 / 深部加温 / Fe_3O_4 |
研究概要 |
今年度は、京都大学医学研究科において、家兎腎動脈からのマグネタイト微小球注入時に腎組織の20-30μmの細動脈内に到達していることを組織学的に確認したが、詳細な観察によれば、組織内の微小球分布にはばらつきがあり、組織内血管の分布に合致した注入物質の分布の均一性の向上が課題として浮かび上がってきた。分布の均一性を向上させる手法として、注入微小球の直径を小さくすること、注入システムの開発に着手している。 前者に関しては、15-20μmの小径微小球の家兎注入実験を行った。水より重い微小球が、直径が小さくなることで、血流動態に与える影響にも考察が必要となる。後者に関しては、約30mgの微小球を注入する場合に、10mlの造影剤と混和して、充分な時間をかけ、胃や十二指腸に溢れないように注入する方法を施行している。実際、マグネタイト微小球を家兎腎内に経動脈的に注入した場合、外部からの高周波加温装置による発熱は、コントロールとした直腸温より3℃の上昇が観察され、生体の熱の放散作用を上回る組織の温度上昇を生み出す可能性が示唆された。加温実験で興味深いのは、加温装置による磁場を中止しても30分以上の間、注入臓器と直腸の間の温度差が認められた点である。 さらに、分布の均一性を向上させるために、中部大学総合工学研究所および京都大学工学研究科において、比重の小さい中空のマグネタイト微小球を作成することを試みた。アルギン酸アンモニウムにウレアーゼを混ぜた水溶液を、硝酸鉄と尿素を含む水溶液中に噴射させた。その結果、アルギン酸アンモニウムの微小球の表面でウレアーゼが尿素を加水分解し、生じたOHイオンがFe^<3+>イオンと反応して中空の水酸化鉄微小球を作った。これを二酸化炭素と水素の混合ガス中で、800℃で加熱処理すると、直径20〜30μmの内部が空洞のマグネタイト微小球が得られた。
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