研究概要 |
臨床試験の結果に基づき、NEDOの助成を受けて安川電機が開発した歩行支援ロボットの股関節軸、大腿カブ、下退部装具、トレッドミルを改造して、脳卒中片麻痺患者の歩行訓練に臨床使用可能なモデルを完成させた。片麻痺患者3名に対して、1回20分間、週5日間、合計3週間の予備的歩行支援ロボット訓練を実施した。ロボット訓練により両側の下肢筋力が増加し、回復期患者では歩行速度も向上した。従って、回復期の片麻痺患者を対象とすると、1回20分間、週5日、3週間以上の訓練で臨床効果を認めると推定できる。訓練モードには、能動歩行モード、能動介助歩行モード、受動モードがあり、光トポグラフィーを用いて脳賦活状況を検討した。受動歩行モードではTotal-HbとOxy-Hbの増加を認めず、能動介助歩行モードで振り出しを意識して歩行訓練を行うと、運動野および前頭前野にTotal-HbとOxy-Hbの増加を認め、脳賦活を生じることが確認できた。能動介助歩行訓練による脳賦活パターンの変化を検討すると、訓練開始前は障害側大脳は賦活されないか、あるいは非障害側の賦活領域と異なる部位に賦活が認められるが、3週間のロボット訓練により歩行障害が改善すると、障害側大脳に非障害側とほぼ対称な部位に脳賦活が認められるようになった。光トポグラフィー上は,歩行障害の改善は対称性脳賦活と関連している。発症後3カ月未満の重度片麻痺患者9名を対象に歩行支援ロボット訓練(ロボット群),2名に通常の歩行訓練(対照群)を行った。ロボット群は訓練開始時点で8名は歩行不能であり、1名は介助歩行のレベルであったが、4週の後、全症例歩行可能となり、下肢筋力も増加し,歩行速度は対照群よりも向上した。対照群は脱落症例が多く、症例を追加して1年以内に有意差を報告する。
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