研究課題
発育期の疾病や障害、成熟後の不慮の事故などにより損なわれた筋の機能回復や再生処方を解明するために、遺伝子及びタンパク質発現の反応を総合的に追求しようとするのが本研究の主たる目的である。更には、筋の損傷からの回復や再生にマクロファージ、衛星細胞、及び核中DNA含有量または濃度等がどのような役割を果たしているのかについても解明を迫る。16年度は、骨格筋萎縮からの再生過程における免疫機能の役割を検討した。マクロファージ機能不全マウス(op/op、雄)に後肢懸垂を行い、その後の回復過程におけるヒラメ筋線維の衛星細胞動態を調べた。後肢懸垂によってop/opおよび野生型の両マウスで筋萎縮および衛星細胞数の減少が認められたが、野生型雄マウスでは懸垂を解除すると衛星細胞数は回復した。しかし、op/opマウスでは懸垂後における衛星細胞数の増大だけでなく、reloadingに伴う筋核数および筋線維サイズの増大も認められず、筋再生が完全に抑制された。また、炎症反応のmediatorとして知られるインターロイキン6(IL-6)の受容体ブロックが筋萎縮からの回復に及ぼす影響も検討した。C57BL/6J雄マウスに後肢懸垂を行い、懸垂終了時にIL-6受容体タンパク質抗体(MR16-1)を腹腔内投与し、懸垂を解除した。その結果、reloadingによる筋線維サイズや筋核数には影響が見られなかったものの、MR16-1投与によってブロモデオキシウリジンを取り込んだ(分裂期にある)衛星細胞数が増大した。以上より、骨格筋萎縮からの再生には免疫反応が深く関与することが明らかであるが、因子によっては、筋線維や筋系細胞へもたらす影響が異なることが示唆された。更に、萎縮筋への衛星細胞の移植による効果に関しても実験準備に取りかかった。
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