地図データ、地域別統計データ、リモートセンシングデータなどのディジタルな地理データを使って行う研究は、人文地理学、自然地理、経済地理を始めとして、地理学に関連する広い分野で行われている。しかし、この種の研究を行う際、現状では、研究に必要な地理データがどこにあるかを知るのが困難であり、また高価な地理データを大学間で共有する仕組みは不十分であり、さらには、地理データのみならずソフトウェアなどの高度な研究情報を大学間で共有するシステムがないという困難がある。これらの困難を解決するのが、当研究の目的であり、その目的を、ほぼ達成することができた。すなわち、当研究の主な成果は、次の通りである。 (1)カタログサーバシステム:従来、地図データの検索は、クリアリングシステムというシステムが利用されていた。しかしこのシステムは、このシステムの担当技術員のいる大きな組織でしか運営できないシステムであり、大学では運営できないものである。そこで、大学の研究者が容易に運営できるシステム「カタログサーバ」を開発した。現在、東京大学空間情報科学研究センター(CSIS)がこのシステムの運営を行っており、研究者が利用可能となった。近々他の拠点校でも運営を始める。 (2)カタログコンテンツ作成システム:一般の研究者が容易にカタログコンテンツを作成できるソフトを開発した。 (3)カタログコンテンツ作成:CSISで利用頻度の多い「数値地図」、「国勢調査」、「Zmap」、さらにはバーチュアル国立地図博物館を目指して各種地図のカタログコンテンツを作成した。 (4)データ共用システム:カタログサーバで探したデータをネットでダウンロードするシステムを開発し、探したデータをすぐ手に入れられるようになった。 (5)ソフトウェァツールボックス:データのみならず、フリーのソフトウェアを検索するシステム、必要なソフトをダウンロードするシステムを開発し、運用している。
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