研究課題
基盤研究(A)
大気のHOxラジカルによる酸化能を調べるための装置としてOHラジカルの大気寿命測定装置を構築した。原理は大気中のオゾンをNd:YAGレーザーの第4高調波により光分解を起こさせ人工的にまたパルス的にOHラジカルを発生させ、そのOHラジカルの減衰を実時間でLIF法により追跡することでOHラジカルの反応性を測定できることを原理としている。これらのシステムを用い東京の都市大気、ドイツの大規模大気チャンバー(ユーリッヒ)で観測を実施し、装置の性能評価、未知なるOH反応相手の存在を確認した。冬季に太平洋北西部を観測したMR03K01航海ではVOCに加えてOVOCの測定も行った。CO,CH4が大きな寄与があるが、それ以外にOVOCが23%もの割合を占めており、なかでもアセトアルデヒドの寄与が大きいことが分かった。DMSの日変化はOHで説明できることが分かった。人為起源の炭化水素は海洋上を輸送される間に比較的速く減少するが、OVOCはこれらが酸化する過程で生成することもあり、海洋上でもそれほど低濃度にはならないことが分かった。海洋大気中でラジカル計測をする際には重要な物質となることが判明した。清浄な海洋大気と中国大陸南部から飛来する人為起源由来の汚染空気塊を検出できる沖縄辺戸岬において行ってきた長期観測の結果を解析した。観測地点に到達する空気塊の経路を調べたところ主に4種類に分類できることが明らかとなった。晩秋から冬季は中国大陸からが主要であり次に韓国と日本からが重要であった。夏季は太平洋からのものが最も高頻度で起こり、春と秋は移動性低気圧の通過に伴い短時間に経路も変化し、中国、日本や韓国と海洋性が交互に同程度の頻度で起こることがわかった。純粋な海洋大気が観測される夏季のオゾン濃度の日変動パターンは日中に15-20ppbとなり夜間は5ppb程度となる。これは日中の光化学的な生成過程を強く示唆するものであり、OHラジカルをはじめとするHOxラジカルとオゾン前駆物質であるVOCおよびNOxの光化学反応で説明できた。
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