研究概要 |
本課題は,東南アジア諸国における生活環境の健全性,安全性の確保のために,水環境を衛生微生物学的視点から評価することを目的とする.本年度は水圏に生息する細菌の検出,およびその生理状態を知るための新しい方法論について検討した.またメコン川流域における抗生物質耐性遺伝子の分布,さらに遺伝子の伝播に関わる環境因子について研究を行い,以下の成果を得た. 1.16S rRNAを標的としたマイクロアレイを作製し,複数の細菌種の同時検出を可能とした. 2.蛍光活性染色-in situハイブリダイゼーション法およびgyrB遺伝子のmRNA定量により,細菌の生理状態を知ることを可能とした. 3.テトラサイクリン耐性菌の出現頻度は,トンレサップ湖(カンボジア)やホーチミンエステュアリ(ベトナム)に比べ,メコン川のクラチエ(カンボジア)カントー(ベトナム)で高く,メコン川底泥中には多様なテトラサイクリン耐性遺伝子が存在することを明らかにした. 4.藻類の代謝物が細菌間の遺伝子伝播頻度を高めることを明らかにした.
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