研究課題/領域番号 |
15201011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
木南 凌 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40133615)
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研究分担者 |
小幡 美貴 新潟大学, 医学部, 教務職員
井上 順 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70323962)
三嶋 行雄 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30166003)
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キーワード | リンパ腫抑制遺伝子 / 放射線 / 発がん感受性遺伝子 / アポトーシス / MTF-1 |
研究概要 |
新規リンパ腫抑制遺伝子・Rit1/Bc111bのノックアウトマウスを用いたRit1遺伝子の発がんへの役割の解明、および放射線発がん感受性座の解析を行い、未知の感受性遺伝子を単離同定することを目的とした。 (1)Rit1-KOマウスを用いて、γ線照射による発がん実験と生じたリンパ腫での遺伝子変異を検討した。Rit1(KO/+)マウスはRit1(+/+)マウスに比べ、明らかに高い頻度で胸腺リンパ腫を発症することが示された。Rit1(KO/+)マウスに発症したリンパ腫の約50%に野生型のRit1アレルのLOHを認めた。一方、V(D)J組換えによるRit1内部欠失は検出されなかった。これらの結果からRit1遺伝子が、がん抑制遺伝子であることが確認された。Rit1蛋白の機能解析を試み、細胞増殖とアポトーシスとの関連性が示唆された。 (2)リンパ腫感受性を担う遺伝子候補としてMTF-1を同定した。MTF-1は放射線暴露を含めたストレスに応答する遺伝子で、ラジカル・スカベンジャーであるメタロチオネインや、抗アポトーシス作用をもつP1GFなどの発現を制御する。感受性(BALB/cなど)マウスのMTF-1は転写活性化ドメインにセリン、一方抵抗牲(MSMなど)はプロリンという多型がある。BALB/cにMSMの抵抗性領域を導入したコンジェニックマウスは、BALB/cに比べ高い放射線によるmRNA誘導能を示した。この違いは上記のMTF-1多型に帰せられ、プロリン型MTF-1マウスは照射の効果をより減弱させることができ、それによってリンパ腫抵抗性を獲得する、と考えられる。現在、ヒトの発がん感受性での多型の関与を計画中であるが、このヒト多型の関与が明らかになると、放射線診断治療の分野で遺伝的な対応を取り入れた新しいプロトコールが考案され得る。
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