研究課題/領域番号 |
15201011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
木南 凌 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40133615)
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研究分担者 |
三嶋 行雄 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (30166003)
葛城 美徳 新潟大学, 医歯学系, 助手 (60401759)
小幡 美貴 新潟大学, 医学部, 教務職員 (00420307)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | リンパ腫 / 放射線 / 発がん感受性 / 萎縮胸腺 / Bcl11b遺伝子 / ROS |
研究概要 |
放射線誘発マウス胸腺リンパ腫を対象に、リンパ腫発生系列細胞の遺伝的変化を検討した。また、照射がこの系列細胞および周囲組織に与える効果ついても解析を試みた。我々はすでにリンパ腫のゲノムワイドのLOH解析から、がん抑制遺伝子としてIkarosとRit1/Bcl11bを単離・同定してきたが、本研究ではRit1遺伝子のノックアウトマウスを作製し、Rit1の発がんへの役割、生理機能の解析を行った。成果は以下のようにまとめられる。 (1)γ線照射による発がん実験から、Rit1(KO/+)マウスは野生型マウスに比べ、高頻度に胸腺リンパ腫を発症することが示され、Rit1遺伝子ががん抑制遺伝子であることが確認された。一方、Rit1(KO/+)とp53(KO/+)の二重ヘテロマウスは非照射でも胸腺リンパ腫を生後300日以内に高頻度に発症した。この結果は、Rit1(KO/+)遺伝子型とp53(KO/+)遺伝子型が協調的に作用し、胸腺リンパ腫を発症することを示す。 (2)照射後萎縮胸腺の遺伝的変化を経時的に検討した。preTCRの活性化に引き続き、Rit1やMycの変化、リンパ腫形成という後期段階ではIkaros、Pten、Notch1に変化が観察された。照射後段階的に時期特異的な遺伝的変化が示された。 (3)リンパ腫感受性を担う遺伝子候補としてMTF-1を同定した。照射後の胸腺内大型リンパ球の出現と消失は、このMTF-1座の遺伝子型に影響された。感受性マウスでは高いROS活性をもつ大型リンパ球が長く持続し、それが感受性と関連すると考えられた。 (4)Rit1ノックダウン細胞株を作製、解析し、以下の特色を明らかにした。(1)Rit1蛋白の減少によりアポトーシスをもたらす。これは抗アポトーシス蛋白・BclxLの減少による。(2)S期で細胞周期を停止する。この停止はChk1の活性化が起こらないことに起因する。(3)紫外線照射では、Chk1およびChk2の活性化(リン酸化)に障害がみられた。これらの結果からRit1遺伝子がゲノム保持機構に働くことが示唆された。
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