研究分担者 |
米元 純三 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジャクト, 総合研究官 (30072664)
青木 康展 独立行政法人国立環境研究所, 化学物質環境リスク研究センター, 室長 (20159297)
大迫 誠一郎 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (00274837)
西村 典子 独立行政法人国立環境研究所, 環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジャクト, 主任研究員 (10097800)
掛山 正心 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30353535)
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研究概要 |
ダイオキシン類の毒性に対する社会的関心は極めて高い。ダイオキシン類として行政的に規制をされている物質群は、ダイオキシン、ジベンゾフラン、平面構造を有するPCB(いわゆるコプラナーPCB)である。その理由は、これらの化学物質が、ダイオキシン異性体の中でもっとも毒性が強い2,3,7,8-TCDD(以下、TCDDと略す)がアリール炭化水素受容体(AhR)を介して示す毒性と同じ毒性を表わすことが前提となっている。我々はこれまでに、生殖発生・脳機能行動・免疫の3つの側面から、環境中からヒトが体内に蓄積している生体負荷量に匹敵する程度の低用量TCDDへの曝露によって生じる毒性プロファイルを解明してきた。本研究では、実験動物に対してTCDDとPCBの複合曝露を行い、複合曝露に伴うAhR依存牲と非依存牲に現れる毒性の量・反応関係を明らかにし、遺伝子プロファイル解析により毒性発現メカニズムの分子基盤に関わる情報を提示することを目的とする。ダイオキシンとして2,3,7,8-TCDD(TCDD)、環境中に存在する主なPCBコプラナーPCBとして3,3',4,4',5-PCB(PCB126)、2,3',4,4',5-PCB(PCB118)、非コプラナーPCBとして2,2',4,4',5,5'-PCB(PCB153)に焦点をあてる。これらの中でPCB153は、体内動態や毒性の量・反応関係に関するデータが少ない。そこで一昨年度までに、PCB153の経胎盤・経母乳曝露を行い、毒性影響を解析したところ、特に学習行動に顕著な影響が認められた。すなわちPCB153曝露を受けた仔ラットでは、オペラント条件づけによるレバー押し学習行動の学習習得に有意な障害が認められた。そこで本年度は、TCDDとPCB153の複合曝露を妊娠15日目の母動物に対して行い、生まれた仔動物に対して学習行動試験を行った。現在行動試験の結果を解析中である。これまでのところ、TCDDとPCB153の複合曝露では、それぞれ単独曝露の影響と比較して相加的効果がみられる可能性があることが示された。また学習行動試験を行った仔動物と同腹の別の仔動物を用いて、DNAマイクロアレイによる遺伝子プロファイル解析も開始した。
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