研究課題/領域番号 |
15201016
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境技術・環境材料
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯塚 尭介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012074)
|
研究分担者 |
松本 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30183619)
横山 朝哉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10359573)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | リグニン / 土壌改良剤 / アルミニウムイオン / 森林 / 酸性土壌 / アルカリ性酸素酸化 / 錯体形成 / 根 |
研究概要 |
世界の酸性土壌地域における植物の生育阻害の要因には様々なものがあると考えられるが、土壌中のアルミニウムの過剰によるものが最も多く、かつ深刻であるといえる。 一方、健全な森林土壌においては、その表層土壌中の腐植物質がそのような生育阻害要因を緩和する重要な機能を果たしていると考えられている。腐植物質が主に植物中のリグニンに由来すると考えられるところから、担当者らは従来からパルプ製造排液から分離した工業リグニンの化学的変換によって、腐植物質に近い化学構造的特徴を有する物質の開発と、その土壌改良剤としての機能について検討してきた。 本研究では、その発展として、パルプのアルカリ性酸素脱リグニン処理段排液中のリグニンの土壌改良剤としての機能の有無について検討するとともに、何らかの前処理によってその機能を改善することが可能か否かについて検討を進めてきた。 これまでの検討の結果、アルカリ性酸素脱リグニン処理排液成分は、その生成条件にもよるが、全体としてアルミニウムによる生育阻害を抑制する明確な性状を有していることが明らかとなった。また、この処理段排液中のリグニンの内、高分子区分が単離クラフトリグニン化学改質物と同様に、特に良好なアルミニウム生育阻害抑制効果を示した。一方、低分子量区分の性状は分子量に大きく依存しており、シュウ酸を著量に含む画分については、添加量によってその影響が異なった。少量のシュウ酸の存在がアルミニウムによる生育阻害を抑制する効果を示すのに対して、存在量が増加すとともに、逆に生育を阻害する結果となった。未晒クラフトパルプのアルカリ性酸素処理では、各種の有機酸の生成が考えられるが、中でもシュウ酸は主要分解生成物であり、排液中に著量存在することは避けられない。したがって、植物のアルミニウムによる生育阻害の抑制を目的として排液を利用する上では、シュウ酸量の適正化が不可欠であるといえる。その方法として、排液への水酸化カルシウムの添加による過剰シュウ酸の沈殿除去が適当であることを明らかとした。
|