1.水の制約空間における相挙動を計算機シミュレーションにより調べた。比較的直径の大きなナノチューブの場合において、計算機シミュレーションの時間内(数十ナノ秒)では何らの結晶も得られなかった。しかし、希ガスを添加することにより、8員環以上のサイズの氷がえられることを発見した。この場合に、希ガスはクラスレートハイドレートと同様の役割を果たしている。 2.クラスレートハイドレートの安定性と相挙動を、広い圧力範囲において分子間のみから予測することを試みた。そのために、大きな空洞では小さなゲスト分子の多重占有を許容する場合への理論の拡張を行い、またゲスト分子を非理想気体として取り扱った。ゲストの高圧条件下におけるクラスレートハイドレートの各空洞の占有率等を計算した。 3.さらに、シリコンのカーボンナノチューブ内での結晶構造とその物性を調べた。その結果、シリコンは水と同様にチューブ状の結晶を形成すること、またそれは電気伝導性があることを見出した。
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