研究課題
本年度は制約空間自身を水分子が形成する場合、すなわちクラスレートハイドレートの物性について検討を行った。通常の実験では非常に困難な高圧下でのクラスレートハイドレートの生成条件とその安定性を分子間相互作用から予測し、空洞の多重占有についての可能性を調べた。大きい空洞にゲスト分子2個まで、小さい空洞にゲスト1個までの占有を許すときのグランドカノニカル分配関数の計算を試みた。水-水の相互作用はTP4Pポテンシャルで記述した。ゲストはアルゴンとして、ゲスト同士と水とゲストの相互作用はLennard-Jonesポテンシャルとした。実際の2重占有の自由エネルギーの計算は、直接のゲスト間の相互作用についてのみ6重積分を直接計算し、ゲストー水についてはあらかじめ表を作成しておく方法を用いた。アルゴンクラスレートハイドレートについての解離圧の温度依存性を明らかにした。アルゴンの化学ポテンシャルは、既知の状態方程式の密度積分により、実在気体として取り扱った。解離圧に関しては2重占有の影響は殆ど無いが、化学ポテンシャルの計算方法に関しては、実在気体としての取り扱いが有利なことが明らかである。2重占有は100MPaをこえてから顕著になっている。ゲストを理想気体と仮定したときにはこの圧力は1Gpa程度になることから、実在気体として取り扱うことが必須であることが分かった。
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J.Chem.Phys. 122(in press)
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