垂直配向ナノ相分離構造の創製と転写ナノ金属化材料

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15201024
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 彌田 智一 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (90168534)
• 研究分担者: 鎌田 香織 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (00361791) ; 浅岡 定幸 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (50336525) ; 中川 勝 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (10293052) ; 吉田 博久 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20094287)
• キーワード: 両親媒性ブロック共重合体 / ミクロ相分離構 / ナノシリンダーアレイ構造 / 表面ナノ規則構造 / X線小角散乱 / 六方格子 / 錠剤成型 / 高分子凝集体

研究概要

非相溶性の高分子セグメントを結合したブロック共重合体は、熱力学的な安定構造として10^0-10^1nm周期の球状、棒状、ラメラ状の規則的なミクロ相分離構造を形成する。われわれは、アゾベンゼンを側鎖メソゲンにもつメタクリレート(A)と親水性のエチレンオキシド(P)からなる両親媒性ブロック共重合体(PmAn)が、規則性の高いナノシリンダーアレイ構造を再現性良く生成することを見いだした。
今年度は、クロロホルムやトルエンなどの汎用溶媒を用いた高分子溶液からマイカ、シリコンウエハ、ITO電極、PETフィルムなどの基板上に溶液キャストおよびスピンコートによって数十nm〜数ミクロン厚の薄膜を作製し、表面ナノ規則構造をAFMおよびTEMによって評価した。
分子量5000のPと58量体のAから成るブロック共重合体(P114A47)のクロロホルム溶液からのキャスト膜のAFM位相像には、約8nm径のドット(P)が広範囲にわたって六方格子に配列し、高次ピークまで確認できるFFT像より周期19.4nmが算出された。この周期は、バルク試料のX線小角散乱から得られた周期21.1nmとも良く一致した。この六方格子に配列したPドットアレイ構造は、バルク試料で確認されているヘキサゴナルシリンダー相分離構造が基板に対して垂直配向していることを示唆している。
高分子溶液から薄膜作製する場合の溶媒蒸発過程を含まない作製法として、合成段階に再沈精製した粉末試料を錠剤成型したペレット試料の表面構造をAFM観察した。熱処理によってキャスト膜やスピンコート膜と同様に、規則正しい六方格子配列のドットアレイ構造が観察された。興味深いことに熱処理前の表面にも規則性は低いものの13±5nm径のドットアレイ構造が観察された。これは、合成段階の再沈過程における溶液内で相分離構造と密接に関連する高分子凝集体の生成を示唆している。

研究成果

• [文献書誌] Yanqing Tian, Tomokazu Iyoda, et al.: "Photo-crosslinkable Liquid Crystalline Block-Copolymers with Coumarine Units Synthesized by Using ATRP"J.Polym.Sci.Part A: Polym.Chem.. 41(14). 2137-2206 (2003)
• [文献書誌] Yanqing Tian, Tomokazu Iyoda, et al.: "Densely Grafted Poly(isocyanide)s Synthesized by Two Types of Polymerization Techniques"J.Polym.Sci.Part A: Polym.Chem.. 41. 1871-1880 (2003)
• [文献書誌] Yi Li, Tomokazu Iyoda, et al.: "Efficient Anodic Pyridination of Poly(3-hexylthiophene) toward Post-functionalization of Conjugated Polymers"Org.Biomol.Chem.. 1. 1779-1784 (2003)
• [文献書誌] Kazuhito Watanabe, Tomokazu Iyoda, et al.: "Synthesis and Nanostructures of Amphiphilic Liquid Crystalline Block Copolymers with Azobenzene Moieties"Trans.Mater.Res.Soc.Jpn.. 28(3). 553-556 (2003)
• [文献書誌] Hidenori Hayashi, Tomokazu Iyoda, et al.: "Syntheses of Dendronized Pyridinio-b-diketone Metal Complexes and Their Spreading Behavior on Water"Trans.Mater.Res.Soc.Jpn.. 28(3). 569-572 (2003)
• [文献書誌] Yi Li, Tomokazu Iyoda, et al.: "Electrochemical Synthesis of Pyridinium-Conjugated Assembly based on Nucleophilic Substitution of Pyrene/Perylene p-Radical Cation"Electrochemistry. 72(3). 171-174 (2004)