1.シングルウオールカーボンナノチューブポルフィリン複合体を作成し、これをPCI-AFM (Point contact current imaging atomic force microscopy)を用いて計測し、1分子レベルでのトポグラフィー像と電流像の同時計測に成功した。 2.昨年までに、1マイクロメータ近くの長さを持つπ共役ポルフィリンワイヤを合成し、グラファイト基板上での自己集合の様相を研究したところ、分子の長さや溶液の濃度により多様な自己組織化を示すことを明らかにしていた。今年度は、このサブマイクロメータ長のポルフィリンワイヤーに金ナノ粒子を配位させることで、金ナノ粒子の1次元構造体を作成した。 3.ポルフィリンに4本の長鎖アルキル基を導入し、その末端にジスルフィドを付けた分子を合成した。この化合物と、3級のアルキルチオールで保護した金ナノ粒子を混合したところ、金ナノ粒子一つに対して、ポルフィリンが1〜3個入ったものができた。これに、ビピリジルを加えると集合体が生成し、その原子間力顕微鏡像、透過電子顕微鏡像などから、1次元の金ナノ粒子集合体が形成していることが分かった。 4.ロジウムポルフィリンを基本骨格とした分子と、ロジウム金属への配位能力を持つ分子を、特殊な条件で水/空気の界面に広げることで、簡単に1マイクロメーター程度の長さの1次元ナノ構造体ができることが判った。この構造体の高さはおよそ1nm程度であり、おそらく分子の一本鎖であると思われる。この手法は、非常に一般性が高く、様々な構造の分子を用いることで簡単に種々のナノ構造体を作成することができ非常に興味深い。
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