研究概要 |
本研究の目的は、マイクロデバイスの性能・機能を正確に評価するために、走査型電気化学顕微鏡(Scanning Electrochemical Microscope, SECM)をベースとし、さらに走査型近接場光顕微鏡(Near-Field Scanning Optical Microscope, NSOM)をハイブリッド化したシステムを構築することにある。SECMの解像度を大幅に向上させ、ナノメートル領域でのバイオイメージングを可能とするため新たな距離制御機構を取り入れたシステムを構築する。また、NSOMと融合したハイブリッドシステムを構築しマイクロデバイスの定量的評価を行うことを目的に、 1.ナノメートルサイズのプローブ電極の作製法、2.Shearing Forceを用いた試料-プローブ間距離のナノメートル制御、3.SECMとNSOMとの融合によるマイクロバイオデバイスの評価、の課題を重点的に検討した。これにより、検出系の高性能化とデバイス基板のインテリジェンス化の両面からシステムの性能向上が実現した。具体的な研究成果を以下に挙げる。 1.構築した測定システムを用いて、細胞デバイスのイメージングおよび定量解析を行った。プログラム、フィードバック系を改良し、倒立顕微鏡ステージ上にて培養したまま細胞機能計測を実施可能なシステムを構築した。 2.半径=100nmの電極を作製した。電極絶縁部を含むプローブ自体のスケールダウンが実現したことにより、Shearing forceによる距離制御で得られる形状イメージングの空間分解能を飛躍的に向上することができた。 3.コラーゲンゲル包埋型の細胞・微生物チップに加え、低融点アガロースにより微生物をチップ上に固定化した。さらに、貫通型シリコン基板やポリジメチルシロキサン(PDMS)流路と組合わせることにより、チップ上での大腸菌形質転換や、変異原物質・内分泌撹乱物質の暴露が可能なマイクロデバイスを開発した。
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