研究課題/領域番号 |
15201033
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小寺 秀俊 京都大学, 工学研究科, 教授 (20252471)
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研究分担者 |
神野 伊策 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70346039)
鈴木 孝明 京都大学, 工学研究科, 助手 (10378797)
藤原 耕二 岡山大学, 工学部・電気電子工学科, 助教授 (20190093)
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キーワード | MEMS / 誘電体 / ミリ波 / 数値計算 / 電磁波 / 圧電素子 / ソフトマイクロマシニング |
研究概要 |
本研究では、モバイルに耐えるユピキタスネットワークを実現できる、固定したままで送受信する周波数と指向性が動的に可変な(リコンフィグラブルな)数十GHz帯から数THz帯のアヒテナをMEMSを利用して実現することを目的とする。このMEMSアンテナは、ナノ材料を分散しその配置を動的に移動させることにより可変性を実現する。上記目的を達成することにより、世界に先駆けて高周波用アンテナの知的所有権を獲得し、利用分野である、遠隔医療やヘルスケアチップやモバイル家電等のIT応用分野における産業創生に寄与する。 本年度は、下記の2種類の研究を行うことにより、指向性の可変性を実現する方法を考案し、その有効性を検討した。また、ミリ波の電波を発信させる場合、スイッチング素子は重要な要素部品となる。このスイッチング素子についても従来の接触型における問題点(接触抵抗や接触不良等)を解消する構造・原理についてもMEMSを用いて検討した。 (1)熱アクチュエータによる誘電体素子の移動に関する検討;マイクロキャビディー内に充填した液体の気化によりマイクロキャビティーの容積に関して検討を加え、数値解析により求めてある、誘電体の変位を与えることが可能か、また、変位の応答特性に関して検討を加えることで、動的な配置が可能かどうかについて考察した。 (2)誘電体の誘電率は温度依存性があり、MEMSで用いることが容易である薄膜化できる誘電体の選択と誘電体の温度特性に関して実験的な考察を加えた。すなわち、誘電体材料の材料組成と誘電率の温度依存性および電無的特性の変化について、実際に誘電体をスパツタまたは蒸着により薄膜化し、その結晶構造や残留応力、さらに組成と誘電率の関係を計測する。さらに、温度を上げるためにマイクロヒータを組み込んだ素子を試作し、その上に誘電体薄膜を成膜した試験片を用いて誘電率の温度依存性について計測を行い、指向性可変なアンテナ素子を作製できるかについて考察する。誘電率の変化と発信特性の関係については、数値解析により求めた。 (3)ミリ波用スイッチング素子として容量変化型のスイッチング素子について検討を行った。圧電アクチュエータを用いたスイッチング素子の構造・原理を検討し、その素子を試作してスイッチング素子としての可能性を検討した。
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