研究概要 |
実験的アプローチでは,シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成し、その上部に陽極酸化アルミナナノホール自己組織配列を形成し、さらにナノホール下部のアモルファス絶縁膜の選択的除去に成功した。これにより、シリコン基板上へのナノホール内部へのヘテロエピタキシャル成長ナノワイヤ配列形成への道が開かれた。また、シリコン基板上のナノホール配列の900℃熱処理後での安定性が確認でき、高安定なトンネルバリア膜形成が可能であることがわかった。 また、陽極酸化電圧を2Vから10Vの範囲で変化させ、ナノホール直径及び密度の電圧依存性を評価した結果、平均ホール径10nm以下、平均ピッチ20nm以下が3V以下で達成可能であることがわかった。また、強磁性体の電解めっき堆積に関して、本年度新たにFePt合金薄膜の堆積を行い、高保磁力化対応可能なナノ磁性体形成技術を確立した。 理論面からは、ナノ構造でのトンネル伝導特性の解析に供するものとして、特に以下の二点について研究を進めた: (1)ナノサイズの1次元金属をアイランドとする2重トンネル接合でのクーロン・ブロッケイド理論を有限温度に拡張し,帯電エネルギー、ラッテインジャーパラメター、アイランドの大きさに加え,温度をパラメターとして系のトンネル伝導特性を解析できるようにした(発表済)。 (2)ナノサイズ強磁性トンネル接合でのクーロン・ブロッケイドに起因する巨大磁気抵抗変化率の出現を解析すべく,高次のトンネル効果を取り込んだ経路積分法に基く理論の構築を行った(投稿準備中)
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