研究課題
本年度は、ハンチントン病発症の原因となるCAGトリプレットリピートに結合するナフチリジン-アザキノロンとCAG/CAGの複合体構造の解析を重点的に進めた。その結果全く新たな結合様式でナフチリジン-アザキノロンが結合していることを見出した。トリプレットリピートは、リピート数が以上に伸長すると疾病を引き起こすことが知られており、トリプレットリピートの異常な伸長や発症のメカニズムの解明が求められている。近年これらトリプレットリピートが特異な構造を形成することが報告されて、その構造形成と疾患発症との因果関係が強く示唆されている。一般に、CXGリピートも持つDNAは、G:C塩基対とX:Xミスマッチ塩基対からなるヘアピンループを形成しやすいと考えられている。我々の開発したドラッグ、ナフチリジン-アザキノロンは、CAG/CAGの繰り返し配列に2:1の結合比で結合した。即ち、2分子のリガンドが1箇所のCAGヘアピン構造に結合することを明らかにした。さらに、ナフチリジン-アザキノロンのCAG/CAGへの結合により、グアニンと水素結合していたシトシンがフリップアウトした構造を取ることが示された。この構造は低分子による水素結合した核酸塩基を強制的にフリップアウトさせた最初の確定構造であり、今後のリガンド分子設計に極めて重要な知見を与えるものと確信している。同様の結合様式によるたのトリプレットリピートへ結合する分子の開発を進め、ゲノム創薬への展開を計る計画である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (5件)
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 15
ページ: 259-262
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 14
ページ: 1105-1108
Journal of Physical Chemistry, B 108
ページ: 7500-7505
Bioorganic & Medicinal Chemistry 12
ページ: 3117-3123
ページ: 3431-3433