研究課題/領域番号 |
15201043
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡村 高明 大阪大学, 大学院理学研究科, 講師 (90252569)
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研究分担者 |
上山 憲一 大阪大学, 大学院理学研究科, 特任研究員 (80093376)
中沢 隆 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (30175492)
綱沢 進 島津製作所, 分析計測事業部ライフサイエンス研究所, 部長(研究職) (30029962)
九山 浩樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 寄附研究部門助教授 (60437332)
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キーワード | プロテオーム / 金属錯体 / 蛋白質 / 質量分析 / アミノ酸配列決定 / N末端ペプチド / C末端ペプチド / 標識試薬 |
研究概要 |
昨年度までの成果を基に、ビス(ターピリジン)ルテニウム(II)錯体型N末端標識試薬を複合タンパク質に応用した。従来の方法では、タンパク質の混合物のアミノ酸配列解析を質量分析を用いて行う場合、検出感度がペプチドを構成するアミノ酸残基に依存するためピーク強度が存在比を反映しないだけでなく、イオン化効率の良いフラグメントイオンの強いシグナルが存在すると相対的に感度の低いプラグメントイオンが検出されないという問題が生じていた。本研究課題で開発した上記の標識試薬を用いて複数のタンパク質を等モルずつ含む混合物のN末端のみを標識し、酵素処理の後、質量分析すると、全てのN端フラグメントが同時に比較的近い強度で検出された。これはルテニウム錯体がイオン化しやすいため、ペプチドのアミノ酸残基に関わらす一定量のイオン化が実現されたためと解釈できる。この特徴を生かすことで、ペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)法におけるシーケンスカバー率を高めることに成功した。また、複合タンパク質の構成タンパク質の同時検出を可能にした。実際に高度好熱菌Thermus thermophilus HB8由来の複合タンパク質をNative-PAGEで分離し、構成するタンパク質の同定に成功した。このルテニウム錯体型N末端標識試薬を利用しC末端標識試薬も合成した。 一方、オキサゾロンを経由しペプチドのC端のみを活性化する方法を発展させ、C端のみにカチオン性の官能基を導入することでC端フラグメントを選択的に感度良く検出する方法を開発した。また、このオキサゾロンを経由するC末端活性化と、先のルテニウム錯体型C末端標識試薬を用いることで側鎖にカルボン酸を有するペプチドにおいてもC端アミノ酸配列決定に成功した。
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