研究課題
人間言語の本質的特性の1つと考えられる要素の転位(displacement)について、理論言語学、機能言語学、言語脳科学の観点からの統合的に考究・実験を進めた。理論言語班(保阪、中島、長谷川、本間、小川)は、中島が、非対格仮説を中心とした実験研究(fMRI, ERP)と埋論研究、保阪が、受動移動の英語・ドイツ語の違いの研究を進めた。小川はフランス語を対象とした上位機能領域とフォーカス,強調・対比など情報構造上の要因に基づく転位の歴史統語論の観点から研究などを進め、長谷川はミニマリストプログラムの枠組みにおける再帰代名詞の束縛現象に関して、位相(phase)の概念との関わりから、さらに研究を深めるとともに、Swipingと呼ばれる省略現象の研究に着手した。本間は音韻論に基づく英語や日本語の研究を進め、英語のschm-reduplicationの研究などを行った。機能言語班(高見、岡本、石野)では、高見が移動現象のひとつである英語の「場所句倒置」(Locative Inversion)を統語的、意味的、語用論的側面から考察し、従来から提案されている非対格性に基づく分析の不備を指摘し、機能的分析を提案している。また、岡本は前年度に引き続き、ドイツ語における特殊な動詞句話題化構文をデータ、および理論の両面から研究を進め、石野はフランス語に関するインフォーマント調査や文献収集を行っている。実験班(萩原)は、128チャンネル脳波装置を用いて日本語の左方転位かき混ぜ文のデータ再解析、および日本語文処理における格助詞の役割に関する実験を行った。前年度に行った左方転位かき混ぜ文のデータ処理方法について再検討し、新たな処理方法を用いて再解析を行った。その結果、前回検出された4つの成分すべてにおいて、再現性を確認した。
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