研究分担者 |
中島 平三 学習院大学, 文学部, 教授 (10086168)
高見 健一 学習院大学, 文学部, 教授 (70154903)
萩原 裕子 首都大学東京, 都市教養学部人文・社会系, 助教授 (20172835)
本間 猛 首都大学東京, 基礎教育センター, 助教授 (30241045)
小川 定義 首都大学東京, オープンユニバーシティ, 助教授 (40268967)
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研究概要 |
このプロジェクトは理論言語班・機能言語班・脳科学班の3つのセクションに分かれている。理論言語班では,ドイツ語の受動化における転位は存在しないが,かき混ぜ構文は存在するという研究(保阪),極小主義の立場でremnant movementに基づいて古フランス語を分析することが可能であること(小川),さらに,単文と副文の対比において,fMRIとERPを使うことで,統語操作に関する様々な結果が得られること(中島)などを明らかとなった。さらに,長谷川は,極小主義におけるSwiping分析を行った。本間は最適性理論を使った周辺的音韻現象を研究した。機能言語班では,高見が非対格構文における統語分析の問題点を指摘し,機能的・意味的要因がこの構文に存在することを示した。岡本はドイツ語の非対格構文のVP前置は,統語的なものではなく,機能的な現象であることを示した。石野は機能文法の観点からの言語資料を収集した。脳科学班では,萩原のグループが転位を伴った文に関するERPとプライミング実験を行い,かき混ぜ文における保持と統合を反映しているSAN,P600という成分を観察している。三項動詞文の実験では、動詞句内かきまぜ文において,遅い陽性成分を観察した。これは、転位要素が構造へ統合する位置が構文によって異なることを示唆しており、言語特有の分析の可能性を示唆するものであり,従来の統語解析理論への再考を促すものとして注目される。最終年度は、公開シンポジウムを開催した。脳科学者と言語学者の出会いの場を用意できたのもこの研究助成の成果である。
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