研究課題/領域番号 |
15202021
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
村嶋 英治 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 教授 (70239515)
|
研究分担者 |
原 不二夫 南山大学, 外国語学部, 教授 (50319290)
菊池 陽子 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60334447)
伊藤 友美 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (40337746)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | タイ国共産党 / マラヤ共産党 / ラオス人民革命党 / 華僑・華人 / 東南アジア共産主義運動 / 中国共産党 / 中国国民党 |
研究概要 |
本研究の目的は、主に次の二点にある。1,暹羅共産党((1941年以降はタイ共産党)の歴史を、中国、マラヤ、ベトナム、ラオス、クメール等の近隣諸国における共産主義運動あるいは民族解放運動との関係をも視野に入れて明らかにすること。2,タイにおける共産主義運動は、華僑華人およびベトナム人よってもたらされ、タイ人の中に次第に組織が拡大したものである。この過程においては、華僑華人の既存政治組織である、中国国民党との間に激しい対立競争が生じた。それ故、在タイ中国国民党の組織・運動と、共産党との関係を明らかにすること。 平成17年度においては、前年度に引き続き、暹羅(タイ)共産党と中国共産党との関係に関する資料の発掘に努め、シンガポール国立大学、香港大学に出張し、両大学の中文図書館が収集している中国共産党・国民党関係資料(含む雑誌)を広範に調査した。また、バンコクにおいては、タイ国立公文書館において、中国共産党・国民党に関連した、大量の華僑関係資料を収集した。また、バンコクで、タイ国立図書館が所蔵する、戦後期の華字新聞のうち、中国共産党タイ支部の機関紙である『真話報』やタイ共産党系の『全民報』、在タイ中国国民党機関紙『正言報』を丁寧に閲覧した。戦前期の30年代においては、暹羅共産党系の言説は、一般華字紙(『中華民報』、『華僑日報』、『国民日報』など)の「副刊」にも掲載されているので、これらの新聞も通覧した。同時にバンコクでタイ共産党の元幹部等にインタビューを重ねた。また、主にマレーシア、ラオスにおいて、タイ共産党との関係を中心とする文献調査、インタビュー調査を実施した。 これらの調査研究により、従来学界では知られていない、新しい事実、資料を多数発見することができた。例えば、1926-27年における、国民党暹羅総支部と国民党中央部の左派海外部長指導下の暹羅特別党部との間の深刻な対立。後者のメンバーは、1927年以降の暹羅における華僑華人共産党の活動と密接な関係を有すること。1927年4月以降中国の南京政府の清党と暹羅への中国共産党員の避難の具体的事実、30年代の華字紙副刊が共産主義の宣伝に果たした役割などである。
|