研究課題
為替レートの変動の理論的・実証的研究において、今年度は、つぎの四種類の研究成果があがった。(1)円ドルレートのマイクロ・ストラクチャーに関する研究。(2)日本の通貨当局による為替介入の研究。(3)アジア通貨の危機の伝播の研究。(4)国際金融の諸問題についての展望と今後の研究課題の指摘、である。(1)については、電子ブローカーのコンピューター記録を入手して、一日の中の取引パターンを計測した。時間帯により、取引頻度や、Bid-Ask Spread(売買気配差)が、変動することを示して、円・ドルレートの、分単位の取引過程についての分析の準備作業を行った。24時間のなかで、取引頻度には、3つの山があることを示した。(2)日本の通貨当局は、2003年1月から2004年3月まで、累計で、35兆円という巨額の介入を行った。この介入のパターン(高頻度・小規模から大規模までさまざま)が、1995年から2002年までの介入のパターン(低頻度・大規模)とは、大きく異なることを明らかにした。介入が、おもに、投機ポジションに対抗するために行われていた可能性を示唆した。(3)アジア通貨の伝播については、伝播のチャンネルが、貿易のリンケージと相関があることをあきらかにした。(4)については、国際金融の課題として知られているいくつかの「パズル」について展望、かつこれまでの研究成果についてわかりやすく解説して、さらに、今後の先端的な研究課題を指摘した論文を、日本経済学会の会長講演として書いた。
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Japanese Economic Review 56, 1
ページ: 1-38
東京大学 CIRIE Discussion Paper J-124
National Bureau of Economic Research, working paper No.10856
National Bureau of Economic Research, working paper No.10448
National Bureau of Economic Research, working paper No.10456
Dollar Adjustment : How Far? Against What(Bergsten and Williamson (eds.) ) IIE
ページ: 171-196
Center on Japanese Economy and Business, working paper No.229