研究課題
秒単位の実際の取引に使われていた為替レート(円ドル、ドルユーロ)のデータ分析から得られた研究成果は次のとおり。一日のなかの為替レート変動については、顕著な時間別のパターンが見られる。取引活動が活発なのは、現地時間で、東京の9時台、ロンドンの7-9時台、ニューヨークの8-9時台、である。また活動が活発でないのは、東京の昼休み(12時台)、ロンドンの昼休み、ニューヨークの午後から夕方となる。東京の午前6-8時台が一番取引活動が不活発となる。取引活動が活発である時間帯は、指値幅(ビッド・アスク・スプレッド)が小さく、またビッドやアスクの改訂頻度も高い、という特徴が見られる。ドルの買い注文に基づく取引が多ければ、ドルが対円で上昇する、という取引フローが価格変動に与える影響についても確認された。日本の通貨当局による為替介入が起きる場合(反応関数)は、円ドルレートが長期移動平均線に比べて、円高(もしくは円安に)乖離して、かつ急激に乖離幅を拡大するときであるが、介入には一定の固定(政治的)費用がかかるため、介入頻度は、あまり高くならない、とする定式化は現実をよく説明している。頻度は低く、一回あたりの介入額が大きければ、介入効果は大きくなる。アジア通貨危機では、一国の通貨下落が他国の通貨下落に「伝播」したことが、その影響の広がりを大きくした。このような伝播は貿易のつながりの大きなと相関関係があることが示された。将来のアジア通貨危機を防ぐためには、アジアの通貨が域内通貨との為替レートは安定しつつ、対域外通貨(米ドル、ユーロ)に対しては、フロートする為替レート体制が望ましい。このような動きを実現するためには、アジアのなかでバスケット通貨単位を計算、公表して、各国がこの共通バスケット通貨単位にゆるやかなペッグをとることがひとつの方法として考えられる。
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