研究課題/領域番号 |
15203012
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸男 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00158669)
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研究分担者 |
足立 文彦 金城学院大学, 現代文化学部国際社会学科, 教授 (70103215)
伊藤 公一 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (20095417)
林 伸彦 愛知学院大学, 経営学部, 教授 (10308760)
山田 基成 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10158222)
高橋 美樹 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (30197181)
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キーワード | 産業集積 / 一村一品運動 / 東アジア化 / 機械金属産業 / 産地型産業 / 伝統型産地 / 知的連携 / 中小企業のイノベーション |
研究概要 |
本年度は3年間の研究期間の最後の年度であった。過去2年間、国内の産業集積の実態調査、中国とタイでの産業集積の実態調査、およびラオスでの基本的産業集積資料の作成と収集を行ってきた。この調査の結果として、そこからの含意の把握を今年度の課題とした。研究会、さらには各自による補足調査を通し、国内では、機械金属産業での誘致工場を中心に形成された産業集積と、産地型産業集積および大分における一村一品運動を中心に、東アジア化のなかでの構造変化と新たな産業集積の形成に関して、いくつかの論点の解明に努めた。そこから、産業集積の再編成が、個別の産業集積それ自体のあり方を越えた形で、より広域なものとなり、産地型の産業集積でも従来のように特定製品や特定地域内に限定されないものへと転換することで、新たな展望を見いだしていることを明らかにした。 また、同時にタイの日系企業進出を核とする産業集積の形成、タイの一村一品運動を核とする集積の形成、中国天津での国有企業の解体のなかで形成された産業集積の発展等について聴取り調査の成果を分析した。この分析を通して、一方で日本国内の産業集積との競合性がより強化されつつあることが確認された。それと同時に、日本国内の産業集積地域の持つ特性、高度かつ迅速な物作り能力を活かすことにより、東アジアの産業集積の発展のなかで、補完的な関係として発展可能性を持つことも明らかにできた。 このように、東アジアの集積動向を、日本国内と中国やタイという形で、双方向から見ることで、今生じている東アジアにおける産業集積の大きな変化の流れを把握することに一定程度成功した。それをもとに、7名の研究者を中心に、東アジア化という枠組みのなかで、国内産業集積の構造変化と新たな産業集積の形成について理論的かつ実体的に解明に関して、その中間的な総括としての報告書を完成することができた。
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