研究課題/領域番号 |
15203030
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 敏正 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (70093648)
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研究分担者 |
青木 紀 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80125484)
姉崎 洋一 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80128636)
小内 透 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (80177253)
佐藤 公治 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60113669)
須田 勝彦 北海道大学, 大学院教育学研究科, 教授 (60091469)
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キーワード | 発達支援 / 学習支援 / 援助実践 / 若者支援 / 特別支援教育 / ネットワーキング / ネットワーク・デザイン |
研究概要 |
1、本年度は最終年度として、研究計画の3つの柱(地域調査研究、インテーフェイス・プロジェクト、国際比較研究)に基づいて、それぞれの補足的調査研突を行うとともに、全体のまとめのためのシンポジウムや研究会を開催した。その際、テーマとしては「若者支援教育」と「特別支援教育」に焦点化し、国際比較研究としては英国リーズ市に絞って実施し、今後に残された課題を明らかにするようなかたちで実施した。 2、「若者支援教育」では以下の諸点が明らかになった。(1)政策担当者や経済団体では「雇用は厳しいが仕事はある」と現状を認識しており、仕事と若者の意識・能力のミスマッチを問題としている。(2)しかし、若者自立塾等の調査によれば、ミスマッチが生ずる原因は個人に帰属するというよりは、急激な社会変動の下での家庭や学校に浸透した構造的危機にあり、社会資源の保有格差が密接に関連している。(3)こうした状況において、若者の社会的自立支援にあたる援助者たちは、協同性を再構築しつつ、人とのつながりをつくる力や自分で考える力を形成するための実践を組織しており、それは教育・福祉・法務の領域を超えて共通性を持つ。4)以上およびリーズ市の活動との比較研究を通して、若者に即した発達学習支援ネットワークの構築の課題と方法が明らかとなった。 3、「特別支援教育」では、(1)国内研究としてはとくに「教育支援教育と地域支援プログラムの展開」というテーマのもとに実施してきたシンポジウムでの議論を踏まえて支援上の課題を明確化させた。諸タイプのネットワーク形成上の課題とともに、とくに支援者における態度や意識を改革する必要性を整理した。(2)国際比較研究では、米国マサセッツ州アマースト近郊の諸学校ならびにニューヨーク州立大学バッファロー校の子ども家庭支援センターにおける調査活動の整理のほか、とくに英国リーズ地域の特別支援教育に関連する諸施設を調査研究によって、特別支援教育に関わる先進諸国の共通性と日本の独自性について考察し、今後の課題と関連づけて検討した。 4、以上の調査研究の成果の主たる部分を、『発達・学習支援ネットワーク研究』第7号にまとめた。これまでの調査研究を総括するとともに、これらを通して得られた研究方法として「双方向的・協同的・組織的研究」を、残された理論的・実践的課題としてネットワーク・デザインにかかわる「地域教育計画」づくりを提起した。
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